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スマホ搭載カメラの力と弱点
皆さんは写真を撮る時は何を使っているでしょうか? やはりスマートフォンで写真を撮る方も多いのではないかと思います。
最近のスマートフォン搭載カメラは小型でありながら機能や写りの良さもあり、新製品の発表や販売にあたってもその性能が強くアピールされています。
撮影したあとの共有文化も発展しており、写真はインスタグラム、動画ではTikTokといった画像・動画といった映像を中心としたSNSも活発となっています。
ただ撮るだけではなく見せる事まで意識して、カメラの性能がスマートフォン機種選びの決めてになる事もあるかもしれません。
カメラの性能と構成要素
カメラの性能や写真写りは色々な要素が合わさって決定されます。
クラシックでアナログな昔ながらのカメラはレンズやフィルムの違いで写りが変わりますが、フィルムを利用しないデジタルカメラでも色々な条件で写りが変わってきます。
画素(解像度)
極端に表現した画素の差(9画素と36画素の差)丸を書く時、使う画素がより多いほど正確に再現できます
画素数はそのまま縦横の画像サイズに相当します。 例えばiPhone7〜iPhone14(Pro除く)までは1200万画素でおよそ3000×4000ドットの解像度を持つ画像。 より新しいiPhone14Pro以降のメインカメラは4800万画素でおよそ6000×8000ドットの解像度を持つ画像。
この解像度はモニターやテレビで使われる単位と同じとなっており、テレビやモニターで一般的な解像度は以下
- H D =1280×720 (92万画素)
- フルHD=1920×1080 (207万画素)
- 4 K =3840×2160 (829万画素)
スマホのカメラもモニター等と比べるとかなり高解像度(高画質)の写真が撮れるとわかります。
高画素でも違いがわからないと言われることもありますが、その理由の一つはディスプレイの解像度が追いついていない事が一つの理由になっています。
センサーサイズ
レンズの下には四角いセンサーが配置されています。
デジタルカメラにとってはフィルムの代わりになっています。
センサーは映像素子などとも訳されるもので、N万画素といわれるセンサーは一つ一つの素子が集まって出来たもの。 センサーを構成する画素数はは勿論、センサーのサイズも実は重要な要素の一つです。
一眼レフカメラの4800万画素とiPhone14Proの4800万画素は一見同じですが、センサーのサイズは大きく違います。 同じ画素数の場合、より大きなセンサーを持っている方が本質的な画質では有利になります。
理由として、より大きなセンサーの方が光を沢山集める事が出来るため、細かい質感や暗い場所もより簡単にセンサーで捉えて撮影が可能になります。
スマートフォンでも、カメラの画素数が同じでもセンサーの大きさや後述する要素(レンズや処理エンジン)によって画質に違いが生まれます。
レンズ
レンズは拡大(望遠)や広角(ワイド、魚眼)といった撮影対象の倍率や映り方を変えます。 また、倍率以外でも逆光対策や明るさ、ピント(ボケ効果)もレンズによって影響されます。
デジタルカメラではズーム倍率が可変な物も多くありますが、構造としてレンズが動く空間が必要であり物理的にレンズが大きくなってしまう問題があります。
そのため付替え式レンズや大型化、重量増加に繋がっています。
スマートフォンでは使える空間が限られるため、固定倍率の小型レンズとセンサーのユニットを倍率を変えて複数搭載する事で望遠と広角の撮影を実現させています。
1倍、3倍、5倍といった固定の倍率のカメラユニットにあわせ、倍率ごとの中間ではソフトのデジタル処理でズーム機能を実現しています。
センサーの大きさと合わせて、レンズの大きさ(直径)も大きくなる傾向があります。
処理エンジン
写真はセンサー(素子)一つ一つが取り込んだ光の情報をコンピューターによって一つの画像へ処理、出力します。 このときの処理を行う半導体チップを指します。 機種によって画像処理の性能や最終的な画質の出し方に差があり、カラーバランスを始め暗い場所での処理やHDR能力、網目のような細かい物を撮ったときの結果が変わってきます。
センサーやレンズの大きさに制約があり、性能に限界が生まれるスマートフォンでは画像処理能力によって画質の向上をめざす方針をとることもあります。
実際の「写真写り」はこれらの要素をあわせて記録された画像データと必要や好みに合わせた後処理、画像の加工を行う事で「映える」写真が完成します。
スマホカメラのトレンド
毎年の様に新製品が登場するスマートフォンですが、特徴や性能をアピールする文脈でカメラの性能についてよく話題になります。 それだけスマートフォンのカメラの性能は機種ごとの違いが現れる要素として注目されています。
そして、毎年の性能アップや変化を見るとスマートフォンのカメラにトレンド(流行り)が見える気がします。 いま、スマートフォンのカメラが力を入れているなと感じるものが幾つかあります。
高画素化
低画素←→高画素
※カメラ高画素化するメリットのイメージ
iPhoneでは特にここ数年顕著にあらわれています。
一眼レフをはじめとした一般的なデジタルカメラでは「高画素」をアピールする事がよくありますが、スマホのカメラも同様に様々な機種で高画素化が進んでいます。
中でもAndroidスマホでは一億画素のものも存在しており、Android系スマホの高画素化に対してiPhoneシリーズは高画素化について追走する形です。
高画素であることがそのまま写りの良さに繋がるわけではありませんが、性能の指標としてわかりやすい面もあり販売戦略から高画素カメラの搭載が進んでいます。
弱点の克服
高画質なスマートフォンのカメラですが、弱点が存在しています。
なかでも望遠ズーム性能は特にスマートフォンの持つ物理的なサイズ上の弱点だと言え、デジタルカメラではある程度の大型化も必要であれば受け入れられますが、スマートフォンでは携帯性が明確に悪化してしまいます。
スマートフォンでは拡大撮影を行う場合はデジタルズームと複数のレンズを組み合わせて行っていますが、デジタル処理によるズームは実際の光(肉眼で見える実際の景色など)を拡大せず、撮影後の写真データで拡大表示を行う事に近く、現状では画質の劣化が課題となっています。
センサーの高画素化は撮影時のデータが高画質になるため拡大での画質劣化を抑えられますが、根本的な解決になりません。
そこでスマートフォンではカメラのレンズ構造を工夫することで望遠倍率を伸ばす事で弱点の解決が図られる様になり、具体的にはペリスコープレンズと言われるような構造が採用される事が増えました。
レンズは通常、焦点距離と言われる物で映像の倍率が決まり、焦点距離が長い(大きい)物ほど映像が拡大されます。 焦点距離はピントを合わせた時のレンズとセンサーの距離であり、焦点距離が50mmのレンズはレンズとセンサーの間に5センチの空間が必要となりますが、スマートフォンでは厚みが5センチ以上も必要になり、無理があると言えます。
※実際はセンサーのサイズやレンズの特徴と合わせて、デジカメ等で相当する焦点距離を換算された焦点距離で表示されることが多く、換算50mmと表示される場合は一眼レフでの50mm相当の画角(望遠)に相当する、という意味。
(スマホのカメラが焦点距離を物理的に50mm持っているわけではありません)
ペリスコープレンズは反射鏡を利用し、光の進行方向を変えて使える空間を増やして焦点距離を伸ばす方法で光学望遠を可能としています。 スマホの厚み方向ではレンズとセンサーに距離を作れない為、一度折り曲げて横幅方向でレンズの搭載や焦点距離の調整といったた工夫を行っています。
実際にペリスコープレンズを搭載したスマートフォンとしてAndroidスマホではGalaxyS23Ultra、Xperia1Vといったいわゆるハイエンドモデルに採用されるケースがあります。 また、iPhoneシリーズでは似た原理をもつ高倍率カメラがiPhone15ProMaxに搭載されました。
カメラが「強い」スマホは外観で判る……?
色々な要素がカメラの性能の高さにつながっていますが、実際のところモデル間の画素やレンズの倍率を暗記したりして比較することは余程の興味や関心が無ければ難しいところがあります。 ですが、正確では無いもののある程度カメラの性能が良いと外見で比較する方法があります。
端的にカメラレンズの直径を比較する方法です。 複数のレンズを搭載しているスマホも現在では多く存在しますが、基本的にはレンズの直径が大きい場合はセンサーもレンズの能力も高いと考える事が可能で、センサーサイズは大きいほど画素の多さや性能に余裕が生まれ、レンズも直径が大きいと光を沢山集めることが出来るため性能が向上します。
沢山のレンズを搭載する場合、一つひとつのレンズとセンサーを配置するための空間を用意する必要があり、個々のセンサーとレンズのサイズに制約が生まれてしまいます。
理屈を元に極端を言えば、複眼の為に割く空間を一つの大きなレンズとセンサーの為に使ったスマホが一番画質が良いと言えそうですが、ズーム機能を工夫しないと倍率の変更が出来ず使い勝手は悪化しそうです。
スマホの機種を選ぶとき、デザインを含めてカメラに注目すると面白いかもしれません。
性能を活かすカメラアプリ
写真の出来上がりにはカメラの性能が重要ですが、単にカメラが高性能であれば良い写真が出来るという訳でもありません。
スマートフォンのカメラは高画素ですが、実はモニターやディスプレイの解像度は画素よりも小さく、拡大しない限り画素の差は目立たず気づかない事も。 高画素は写真の決定的要素ではなく一要素にとどまります。
実は「インスタ映え」はカメラの性能ではなく撮影のテクニックや撮った写真の編集が上手いという場合も多くあります。 カメラ性能に合わせた写真の編集もハマると面白いかもしれません。
簡単に見栄えを変化させる方法として、スマートフォンに搭載されている初期のカメラアプリでも大きく映りと印象を変化させることが可能です。
例:食べ物を撮影する場合は暖色を意識するのがオススメ
まとめ
カメラの性能は年々向上しており、高画素化やレンズの高性能化やセンサーのサイズが大きくなったりしていますが、機械の性能以外にもソフトの処理能力での性能向上、画質の調整が進んでいます。
一方で、根本的な成約として物理的なサイズが限られることから弱点が存在しており、大型のレンズを要求するようなズーム望遠での撮影を苦手としています。
しかし、近年ではペリスコープレンズの採用で苦手な望遠撮影も可能な機種もあり、機種を選ぶときには選択肢が増えています。
カメラが高性能な機種を覚えたり選ぶのは大変ですが、外見でカメラレンズの大きい機種は比較的に高性能である可能性があるため見た目に注目してみても面白いかもしれません。
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